新型コロナワクチンが3回目接種へ。3回目接種の諸外国の情報や日本の現時点の方針を確認しました。

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日本での新型コロナワクチンの接種は9月16日時点で2回接種が完了した人の割合は53.1%と全人口の半数以上が接種完了となっています。一方、医療従事者等の先行接種や優先接種の対象者は、ワクチンを接種してから6か月近く経過しています。

デルタ株の流行や、諸外国の感染状況から、ワクチン接種の3回目の接種をという話題が出てくるようになりました。

そんななか、2021年9月17日に開催された、第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で3回目接種の実施について議論がなされました。

すでに諸外国では3回目接種をしている地域もあり、3回目接種を実施するという流れにはなりそうです。

今回は9月17日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会での資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000833964.pdf)をもとに、3回目接種についての情報を紹介したいと思います。

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新型コロナワクチンの接種状況

国内の新型コロナワクチンの接種状況

首相官邸のHP(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)では、最新のワクチン接種状況が掲載されています。9月19日に表示されていた情報はこちらです。

首相官邸HPより(9/19表示) https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

1回目接種が完了しているのは、全人口の65.3%、2回目接種が完了しているのは全人口の53.%です。65歳以上の高齢者のうち、1回目接種完了者は89.9%、2回目接種完了者は88.4%です。

国民の半数近く高齢者の9割近く2回目接種を完了している状態となります。

全国の新規陽性患者数とワクチン接種率

ワクチン分科会の資料に、新規陽性患者数とワクチン接種率について表示した興味深いグラフがありました。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000833964.pdf資料より

オレンジ色のグラフは新規陽性者数で、現在の第5波が昨年の陽性者数と比較してかなり多いことが分かります。

新規陽性者のうち医療従事者の割合(青の線グラフ)はワクチン接種の2回目が完了した3月以降、感染者数がかなり少なくなっているのが分かります。

新規陽性者のうち65歳以上の高齢者の割合(緑の線グラフ)はワクチン接種率の増加(緑の点線グラフ)により、減少傾向にありますが、8月以降、やや右肩あがりになっています。

これらのグラフから、早くにワクチン接種が進んだ医療従事者や高齢者は、ワクチンの効果により、他の年代と比較して感染率が低下していることがうかがえます。

一方、ワクチン接種が約9割完了している65歳以上の高齢者でも、8月以降から新規陽性患者数の割合が増えていることから、ワクチン接種が完了していても、感染者数が増加傾向であることがうかがえます。

ワクチンの免疫原性の推移と有効性の持続期間

全世界でワクチンが接種されてからおよそ一年経過しました。ファイザー社とモデルナ社のワクチンについて、中和抗体の抗体価の推移や有効性の持続時間について情報がありました。

免疫原性の推移有効性の持続時間
ファイザー社2回目接種後8か月後の中和抗体価
2回目接種後7日目に比べて73%~92%低下
発症予防効果:91.2%
・7日目以降2か月未満:96.2%
・2か月以降4か月未満:90.1%
・4か月以降     :83.7%
重症化予防効果:96.7%
モデルナ社2回目接種後6か月までの中和抗体価は
経時的に減少。
発症予防効果:93.1%
・14日目以降2か月未満:91.8%
・2か月以降4か月未満 :94.0%
・4か月以降     :92.4%
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000833964.pdf 資料より

体内の中和抗体(ワクチンによって誘発されたコロナウイルスへの抗体)は減少しますが、発症予防効果は4か月後にも8割以上あることから、中和抗体がある程度減っても発症予防効果が持続していることがうかがえます。

日本の知見として、藤田医科大学の調査では、ファイザー社ワクチンを接種した大学教職員209名の血液中抗体価は、ワクチン1回目接種から3か月後(2回目接種から約2か月後)の抗体価の平均値が2回目接種後に比べて約4分の1に減少したと報告があります。

ワクチンの追加接種について

ワクチン分科会の論点および資料情報

ワクチンの追加接種において、4つの論点とそのための資料として次の情報が示されました。

【論点】追加接種(3回目接種)
  • 追加接種を行う必要があるか
  • 追加接種を行う場合、2回目接種完了からの接種間隔をどうするか
  • 誰を対象者とするか
  • 使用ワクチンについて
新形コロナワクチンの有効性の経時的推移について

新型コロナワクチンの有効性については、経時的に減少する可能性が指摘されている。

デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性について

デルタ株に対するワクチンの発症予防効果は、ファイザー社ワクチンの2回接種後で88.0%、アストラゼネカ社ワクチンの2回目接種後で67.0%との報告がある(イングランドのデータ)

新形コロナワクチンの追加接種に関する諸外国の対応状況

追加接種に関しては、人口全体を対象として追加接種を実施する、ハイリスク者に限定して追加接種を実施する、引き続きエビデンスを注視するなど、諸外国の対応状況は様々である。

ワクチン分科会資料より
諸外国における新型コロナワクチンの1回目/2回目/追加接種の開始時期(2021/9/13時点)

2回目接種開始想定時期から追加接種開始(免疫不全者のみを対象とした追加接種除く)までの期間は、イスラエルでは約7か月、フランス、ドイツでは約8か月、米国、英国では8か月以上となっている。

追加接種の効果について
  • ファイザー社は2回目接種後と比較して、3回目の追加接種により中和抗体価が増加すると報告している。
  • モデルナ社はmRNA-1273 50μgを使用した追加接種により、野生株および懸念される変異株に対する中和抗体が増加すると報告している。
  • アストラゼネカ社ワクチンに関しては、3回目接種後に抗体反応および中和抗体が増加するとの報告がある。
ワクチン分科会資料をもとに作成
追加接種の副反応について

追加接種後の副反応に関して、ファイザー社ワクチンとアストラゼネカ社ワクチンは、1回目または2回目接種後と比較して同程度もしくは低い頻度、モデルナ社ワクチンは任用できる安全性プロファイル、と報告されている。

ワクチン分科会資料より

ワクチン分科会 論点とまとめ

ワクチン分科会で議論された追加接種に関する論点および事務局案は次の通りです。

論点事務局案
追加接種を行う必要が
あるか
国内外の感染動向やワクチンの効果の持続時間、
科学的知見や諸外国の対応状況等に鑑み、追加接種の必要がある。
追加接種を行う場合、
2回目接種完了からの
接種間隔をどうするか
追加接種の時期は、諸外国の動向や現時点で得られている科学的知見から、
2回接種完了から概ね8か月以上後とする。
誰を対象とするか追加接種の対象者は、更なる科学的知見や諸外国の対応を踏まえ判断する。
使用ワクチンについて使用するワクチンは1・2回目に用いたワクチンを用いることを基本としつつ、
更なる科学的知見等を踏まえ、早急に結論を得ることとする。
ワクチン分科会資料より

まとめ

ワクチン3回目接種について、日本の方針としては、追加接種の必要性があることや、2回目接種完了から概ね8か月以上後に接種することは案としてでているようですが、接種対象者や使用ワクチンについてはまだ未定のようです。

医療従事者の先行接種で一番早く接種が完了した人は3月上旬に2回目接種を実施していることから、早くても11月上旬以降に3回目接種実施となるため、それまでに3回目接種の必要な対象者を決めるのだと思います。

追加接種のワクチンについては、諸外国での1回目・2回目で異なったワクチン接種の情報や今後のワクチン供給状況にも左右されるため、現時点では同じワクチンを接種として、今後の方針が示されるようです。また情報が入れば追記したいと思います。

デルタ株が流行する中、ブレイクスルー感染も起こっているため、必要であれば3回目接種を受けたいと思いますが、まずは希望する方に2回目接種が無事行き渡ることが大事だと思います。

3回目接種を受けることになったら、また副反応について報告します。

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